面白さは、思っていた場所にありませんでした〜指でなぞる操作を、丸ごと捨てた話〜

目次

はじめに ── パズルゲームを作りたかった

最近、YouTube で動画だけでなくゲームも遊べるようになりました。

試しにいくつか触ってみて、気づいたことがあります。

私は、パズルゲームばかり遊んでいました。

しかも、どれも似た種類のものです。ブロックを置いて列を消すもの、同じ色をつなげて消すもの。時間に追われないもの、じっくり考えられるものばかりでした。

そういえば、昔テトリスを作ったことがあります。動画を見ながら真似して作りました。楽しかったのですが、遊ぶ側としては、あの手のゲームはあまり得意ではありません。 ブロックが落ちてくると、焦ってしまうのです。

反射神経を求められないパズル。 それが、自分の好みでした。

では、それを作ってみよう。そう思って探していたら、古いゲームに行き当たりました。

1989年の「パイプマニア」

海外で作られたパズルゲームです。日本ではあまり知られていないと思います。

ルールはこうです。

盤面は最初は空っぽ
好きなところにパイプを置いていく
しばらくすると、水が流れ始める
水が、パイプの無いところに来たら終わり

水に追われながら、その先に道を作っていく。

これが面白そうだと思いました。ブロックが落ちてくるわけではないので、焦らされません。それでも、じわじわと追い詰められる緊張感があります。

これを元に、自分なりのものを作ってみることにしました。

まず、遊んでみてください

先に、できたものを置いておきます。

ダウンロードも、会員登録も要りません。このページのまま遊べます。 スマホでもどうぞ。

▶ 別の画面で大きく遊びたい方はこちら: https://gamelablog.com/games/mizukubari/

遊び方

  • 画面をタップすると、線が曲がります
  • 線は勝手に前へ進み続けます。止まりません
  • バケツに水を届けてください。届くと、それまでの線が一気に消えます
  • 壁や自分の線にぶつかったら終わりです

ひとつだけ、少し変わったルールがあります。

曲がる向きが、バケツに届けるたびに入れかわります。

さっきは左に曲がったのに、次は右に曲がる。今どちらに曲がるのかは、画面の上に出ています。

名前は「みずくばり」にしました。バケツに水を配って回るゲームです。

最初の案 ── 指で線を描く

さて、ここからが本題です。

最初に考えたのは、まったく違う形でした。

指でなぞって、道を描く

水が、後ろからゆっくり追ってくる
プレイヤーは、指でなぞって、その先に道を描く
描くのが間に合わなければ、水に追いつかれて終わり

元にした「パイプマニア」は、パイプの部品を1つずつ置いていく形でした。でもスマホなら、指でなぞるほうが自然だろうと思ったのです。

線は、手描き風にしたかった

もうひとつ、こだわりたいことがありました。

パズルゲームの画面は、たいていカチッとした四角でできています。きれいですが、どれも似た見た目になります。

そこに、フリーハンドで描いたような、少し雑な線を持ち込んだら面白いのではないか。そう思いました。

そして、作ってもらった

プログラムは AI(Claude Code)に書いてもらいました。

このときも、絵は1枚も使っていません。

  • 盤面は、方眼のマス目だけ
  • 指でなぞると、手描き風の線が引かれる
  • 水は、その線の上を追ってくる

前に釣りゲームを作ったときに学んだやり方です。絵を用意する前に、面白いかどうかを確かめる。

さっそく、スマホで遊んでみました。

気持ちよくない

遊んでみて、最初に思ったのは、こうでした。

「なんだか、気持ちよくない」

面白い・つまらない以前の話です。指でなぞっているのに、手ごたえがありません。

理由は分からないので、目についたところから直していきました。

① カクカクする

指はなめらかに動いているのに、線はマス目の境目を越えた瞬間に、1マス分ドンと伸びます。

指が半分進んだところでは、線はまだ前のマスのまま。指と線が、ずれているのです。

→ 線の先が、指の位置にぴったり付いてくるように直してもらいました。

② 直角ばかりで、手描きに見えない

なめらかにはなりました。でも今度は、別のことが気になります。

線がカクカクした階段になるのです。上下左右にしか進めないので、当然といえば当然でした。フリーハンドで描いた感じが、まったく出ていません。

→ 曲がり角を丸めて、カーブでつなぐようにしてもらいました。

③ 速すぎる

だいぶ良くなりました。手描きらしい線になりました。

でも、指をサッと動かすと、一瞬で10マスも20マスも引けてしまいます。 これでは、水に追われる緊張感が生まれません。

→ 線を引く速さに、上限をつけてもらいました。

それでも、駄目でした

3回直しました。どれも、確かに前よりは良くなっています。

でも——気持ちよくならないのです。

しかも、速さに上限をつけたことで、指と線が離れるようになりました。指は自由に動くのに、線はゆっくり追いかけてくる。かえって変な感じです。

上限を外してみました。今度は瞬間移動のように動きます。これも違います。

そこで、 AI(Claude Code)には正直にこう伝えました。

なぞる操作の気持ちよさが、どうしても出ません。 指でなぞるのは、そもそも難しいものでしょうか。

気づいたこと ── 磨く場所が違っていた

このとき、私は同じメッセージ(AI)の中で、もうひとつ別のことも書いていました。

ただ、フリーハンドでゆっくり書いた線と、 それを追ってくる水の感じは、とてもよいです。

……あとから読み返して、気づきました。

ここに、答えが書いてありました。

「気持ちよくない」と言いながら、同じ文の中で「とてもよい」とも言っていたのです。

良かったのは、なぞる動作ではなかった

よく考えてみると、私が「よい」と感じていたのは、こういうものでした。

  • 線が、ゆっくり伸びていく様子
  • それを、水が後ろから追ってくる様子

どちらも、見ているだけの時間です。

指を動かす感触ではありませんでした。なぞる動作そのものは、最初から気持ちよくなかった。 それを一生懸命に磨いていたわけです。

磨く場所を、間違えていました。

そして、こう思いました。

見ているのが気持ちいいなら、そもそも、なぞる必要は無いのでは?

捨てた

線は、勝手に伸びていく。止まらない。プレイヤーは、タップして曲がる向きを決めるだけ

指でなぞる操作は、丸ごと捨てました。

何日もかけて直してきた部分です。もったいない気もしましたが、思い切りました。

捨てたら、うまくいった

作り直してもらって、遊んでみました。

急に、面白くなりました。

指でなぞらないので、指が線を隠しません。 そして操作がタップだけになったぶん、線と水を見ている時間が増えました。 よかった部分が、そのまま主役になったのです。

バケツを置いた

ただ、これだけだと終わりがありません。線が伸びて、水が追ってくる。それだけです。

そこで、バケツを置くことにしました。

線をのばして、バケツに水を届ける
 ↓
届いた瞬間、水が一気に走り抜ける
 ↓
それまでの線が、ぜんぶ消える

【ここに、線が消える瞬間の画像】

苦労して伸ばした長い線が、一瞬で消えて、盤面がガバッと空きます。

これが、気持ちいいのです。

ブロックパズルで、たまった列が一気に消えたときの感じに似ています。ごほうびが点数ではなく、空いた場所なのが面白いところでした。

分かったこと

うまくいかないとき、悪いところは、すぐ目につきます。

カクカクする。直角だ。速すぎる。だから、直そうとします。

でも——良かったところには、なかなか気づきません。 当たり前に感じてしまうからです。

今回、答えは良かったところの側にありました。

「線が伸びるのを見るのは、いい」 「水が追ってくるのは、いい」

それなら、そこだけ残せばよかった。 気持ちよくない部分を磨き続ける必要は、最初から無かったのです。

もうひとつ、気づいたこと

捨てられたのは、丸と線しか無かったからです。

もし先に絵を用意していたら、どうだったでしょうか。指でなぞるための見た目を作り込んでいたら、「捨てましょう」とは言えなかったと思います。もったいなくて。

前回の記事で「絵より先に、面白さを作る」と書きました。その効果が、こんな形で出るとは思っていませんでした。

安く作ったものは、安く捨てられます。

おわりに

これで3本目になりました。ブロック崩し、釣りゲーム、そして、みずくばり。

数が増えてきたので、遊べるものを1か所にまとめました。

https://gamelablog.com/games/

どれもダウンロード不要で、スマホでもそのまま遊べます。よかったら覗いてみてください。

今回いちばんの学びは、たぶんこれです。

うまくいかないとき、直す前に、うまくいっているところを見てみてください。

答えは、案外そちら側にあるかもしれません。

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