1. 作れない理由は、たいてい「作る前」にある
ゲームを作りたい。そう思ってから、何年も経っている人がいると思います。
私もそうでした。
不思議なのは、作れなかった理由を思い返すと、ゲームの中身ではないことです。
- ソフトをインストールしたら、うまく起動しなかった
- 画面にボタンが多すぎて、どこを触ればいいのか分からない
- 入門動画を見たけれど、最初の設定で止まった
- 設定を調べているうちに、週末が終わった
ゲームを作る前に、道具の勉強で力尽きる。
これが、いちばんよくある壁だと思います。少なくとも私は、何度もここで止まりました。
今回お話しするのは、その壁が、ほとんどなかった話です。
2. 準備は、3行で終わりました

今回使ったのは、Phaser(フェイザー) というものです。ブラウザで動く2Dゲームを作るための道具です。
Phaserは、ソフトではありません。「部品のかたまり」です。
だから、インストールという作業がありません。準備はこれだけでした。
npm create vite@latest mygame -- --template vanilla-ts
npm install phaser
npm run dev3行打つと、ブラウザにゲームの画面が出ます。これで環境構築は終わりです。
- インストーラーを実行しない
- アカウント登録もログインもしない
- そもそも「起動する画面」がない
「Phaserを起動する」という行為が、存在しないのです。書いたコードを、ブラウザがそのまま表示する。それだけです。
(正確には Node.js というものが先に必要ですが、これは一度入れれば終わりです。公式サイトからインストーラーを落として実行するだけで、10分もかかりません)
3. AIとの相性が、とてもいい

ここが、今回いちばん伝えたいところです。
私は、ゲームのプログラムをほとんど自分で書いていません。AI(Claude Code)に書いてもらっています。
同じことを、以前 Unity でやろうとしたときの話をします。
Unityのときは、準備が大変でした
UnityでAIに手伝ってもらうには、MCPという仕組みを入れる必要がありました。
MCPというのは、ざっくり言うと「今動いているソフトと、AIをつなぐ配線」のことです。Unityは起動して使うソフトなので、AIが中身を見るには、この配線が要ります。
これが、なかなか通りませんでした。
- Pythonという別のものを入れる
- そのパスの設定でつまずく
- Windowsの設定が邪魔をする
- 依存関係のエラーが出る
動くようになるまでに、それなりの時間がかかりました。(そのときの記録は、別の記事に書いています)


Phaserのときは、何も要りませんでした
フォルダを開いて、AIを起動する。それだけです。
配線が要らない理由は、単純でした。
Phaserのゲームは、全部が「文字」だからです。
- プログラム → テキストファイル
- 設定 → テキストファイル
- 魚のデータ → テキストファイル
AIがもともと得意なものしか、ありません。つなぐべき「動いているソフト」が、そもそも存在しないのです。
Phaser自体が、AIを前提に作られています
これは私の感想ではなく、Phaserの公式がそう言っています。
最新版のPhaser 4には、AIに読ませるための説明書が28個も同梱されています。 「あなたのAIにこのフォルダを読ませてください」と、公式が案内しているのです。
さらに、主要なAIはすでにPhaserのことをよく知っている、とも書かれています。
実際そうでした。私が「ブロック崩しを作ってください」と頼んだとき、AIは何の説明もなしに書き始めました。Phaserの書き方を、最初から知っていたのです。
つまり——Phaserは、AIと一緒に作ることを想定して作られています。
4. どうやって作ったのか
やり方は、驚くほど単純です。
- 私が「何を作るか」を文章で書く
- AIが実装する
- 私が遊んでみて、「ここが違う」と伝える
- 2と3を繰り返す
プログラムを書くのはAIです。私が書くのは、日本語の文章だけです。
指示は、ファイルにして渡します
最初のころは、思いついたことをそのまま打ち込んでいました。でも、それだとうまくいきません。会話が長くなると、最初に言ったことが薄れていくのです。
そこで、指示書をファイルにして渡すようにしました。中身はこんな感じです。
- 何を作るか
- 何を作らないか
- どうなったら完成とするか
「何を作らないか」が、いちばん効きました
これは意外でした。
AIは、放っておくと親切に作り込みます。効果音をつけ、演出を足し、ステージを増やそうとします。ありがたいのですが——そうやってプロジェクトは膨らみ、終わらなくなります。
私が何度も挫折してきた形が、まさにこれでした。
だから指示書には、必ずこう書くようにしました。
作りたいものを書くより、作らないものを書くほうが大事でした。
5. できたのは、この2本です
どちらも、このブログでそのまま遊べます。ダウンロードも会員登録も要りません。
① ブロック崩し
https://gamelablog.com/games/breakout
最初に作ったものです。ゲームとしては単純ですが、目的は別にありました。「作ったものをブログに載せて、スマホで遊べるようにする」という道を、一度通しておくことです。
このときの話は、こちらに書いています。 ↓

② 釣りゲーム
https://gamelablog.com/games/fishing/
2本目です。魚が暴れているときに無理して巻けば、糸が切れる。かといってゆるめれば、逃げられる。その駆け引きを作りました。
こちらは完成までに、かなり回り道をしています。その話も記事にしています。

6. AIに任せられること、任せられないこと

正直なところを書きます。
任せられること
実装は、とても速いです。
「こういうものを作ってほしい」と書けば、その日のうちに動くものが出てきます。しかも、作り直しが軽い。
釣りゲームでは、魚を釣り上げるときの操作を3回作り直しました。
1回目は、矢印を出して「その逆に動かせ」というもの。速すぎて、まったく間に合いませんでした。
2回目は、魚を左右に揺らすもの。振り子みたいで、魚に見えませんでした。
3回目で、やっと「魚を釣っている」感じになりました。
ひとりで書いていたら、1回目でやめていたと思います。作り直しが軽いから、あきらめずに済みました。
任せられないこと
一方で、AIには分からなかったことがあります。
- 「矢印が速すぎて、間に合わない」
- 「振り子みたいで、魚に見えない」
- 「左にしばらく粘ってから、向きを変えてほしい」
これは全部、私が実際に遊んで気づいたことです。
AIは、速くて正確なプログラムを書きます。でも、それが面白いかどうかは、遊んだ人にしか分かりません。
そして、これはプログラムの知識とは関係ありません。 ゲームを遊んだことがある人なら、誰にでもできることです。
つまり、こういうことです
プログラムが書けなくても、ゲームは作れます。
でも「これは違う」と言えるのは、あなただけです。
7. おわりに

もし今、ゲームを作りたいのに、その手前でつまずいている人がいたら。
Phaserは、3行で始められます。インストールも、アカウント登録も、起動する画面もありません。フォルダとコードだけです。
そして、AIとの相性がいい。配線も設定も要りません。フォルダを開くだけです。
私はこれで2本作りました。どちらも、このブログで遊べます。ゲームとしては小さなものですが、「作りたい」と思ってから何年も止まっていた私にとっては、大きな2本でした。
作るのは、AIでも構いません。
でも、面白いかどうかを決めるのは、あなたです。
その役目だけは、誰にも代わってもらえません。
